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アパート収支の検討の方法

不動産物件の代表的な評価方法に関しては、「収益還元法」「原価法」「取引事例比較法」があります。収益還元法による評価にういては、物件から得られる収入から維持等に必要となる費用を控除した「純収益」が基本となります。この「純収益」をどのように見積もる=予想するかによって評価額が異なります。すでに稼働している物件に関しては、現時点の収支実績を参考に算定することができますが、新規に物件を建築する際には綿密な計画に基づく収支予想ができるか否かがポイントとなります。

・入居者(テナント)の状況はどうなっているか。部屋数に対して実際に入居している割合=稼働率はどれくらいか、また、今後どのくらいを見込めるか、近隣の競合する物件等との比較から堅実な見方をする必要があります。

・共用部分の費用負担をどのくらいにするかを決定します。

・敷金や礼金については、近年、申し受けないケースもふえていますが、ある場合については当該費用が妥当か否か、検討したうえで運用を前提に考える必要があります。

・費用に関しては、税金や保険料、維持費等を考えると同時に「修繕費」をどれだけ計上できるかが重要となります。賃貸物件に関しては、物件価値を損なわせないためにも定期的な修繕は必要となりますので、どの程度まで必要となるか考えることがポイントです。

・減価償却費に関しては、確定申告時に認められている費用として計上できる範囲で実施することとなりますが、実際の資金は手元に蓄積されるものですから借入金の返済原資として考えることができます。償却前利益を前提に借入金の返済計画を立案することが一般的です。

以上の点をふまえアパートローンの審査に必要となる基本的な考え方をまとめると以下のとおりとなります。

①賃貸物件の構造や、賃料、共益費や保証金について全体が把握できるように整理する。 
②決定された賃料を前提に、100%稼働した場合の収支で約定返済の余力を確かめる。
③現在の入居状況および今後の見込みも加味し、現時点の収支で約定返済の余力を確認する。
④物件の構造別に(木造:20年、鉄筋構造:40年)最長借人期間による返済による収支を検証する。
⑤実現可能な収支により返済条件を検証、確認する。

貸出の返済条件に関して、決定された適用金利により通常の借入期間の範囲内での返済条件・返済期間に収まっている場合は、原則として貸出条件および履行条項について問題はないと考えることができます。ただし、以下の点に関しては留意しなければなりません。

①現在保有の賃貸ビルの価値はどれくらいなのか~「収益還元法、原価証、取引事例比較法」にて試算しておく
②物件処分による貸出金の回収はどのくらいになるのか~現時点、5年後、契約満了時等を試算しておく
③物件価値を維持するための「修繕・改善」費用の負担はできるか確認しておく
④最終的には物件処分による借入金返済の意思があることを借主本人から確認しておく
⑤物件を処分したとしても、借主が生計を維持できるだけの収入等があるか否か確認しておく

以上を総合的に検証したうえで貸出債権全額の回収が見込まれる内容による貸出案件であるか否か判断する必要があります。