記事一覧

アパートローン債権の実態

アパートローン債権のポートフォリオの実態を正確に把握するためには、住宅ローン債権同様に、一定の判定基準を制定し、構造変化をとらえることが必要です。アパートローンの場合も、融資した資金を約定どおり返済してくれるか否かという基準と、万が一返済が滞った場合、担保として申し受けている物件により回収することができるか否かという基準の組合せにより判定することができます。収支比率に関しでは、償却前利益(=減価償却前の純収益)に対する年間約定返済額の割合を用います。ただし、償却前利益に関しては単年度ではなく、最低5年間の収支予測に基づく平均値を活用することとします。

毎年、入居者の状況や物件の稼働状況、費用負担等を考慮すると同時に、今後の環境変化を加味した収支の見直しを定期的(毎年)に実施し、つど平均値を見直します。不動産比率に関しては、定期的評価時点の物件時価額と融資残高の割合を用います。物件時価額に関しては、対象物件の評価方法=金融機関における担保物件の評価方法による定期的な見直し価格を適用することも考えられますが、収支比率の基となる年間純収益に対する還元利回りを用いた直接還元法に基づく評価額を適用します。今後5年間の収支予測に基づく各年度の純収益額の平均値を用いて、還元利回りに関しては評価時点の市場実勢金利等を参考に適用して計算します。

評価の見直しに関しては、年に一度(最終決算年度末)の自己査定業務にあわせて、毎年見直すこととします。貸出金全体のポートフォリオのなかに占めるアパートローン債権の実態を債権明細単位で検証する方法ですが、住宅ローン債権の実態分析と同様の考え方ができます。縦軸に不動産比率、横軸に収支比率を一定の階層区分として定義し債権明細を債務者別に集計します。そのなかの1つのセルを指定し、適用金利の階層や、残高の金額別階層を再集計し検証していきます。ここでできたマトリックスのなかから、セル指定で再度、融資残存期間やセグメント基準、不動産物件の構造区分(RCや木造等)、年間収入金額階層区分という見方で、対象とするグループ別の実態を検証していきます。

縦軸と横軸を指定したクロス集計において、集計する項目を決定し実態を検証しますが、収益や残高については平均単価も算出します。さらに、平均利鞘はどうなっているか、延滞の発生状態はどうか、累積延滞がある先はどこのグループが多いか等、見方を変えながら各セルの特性を検証します。また、不動産比率については、毎期定期的に担保物件の評価洗い替えを行いますが、収益還元法=直接還元法を採用されている場合は、物件価格の将来予測という考え方で、今後の経済情勢や市場環境により「純収益」がどのように変化、逓減し不動産物件価格として何%下落するか、または上昇するか等、シミュレーションを行いながら不動産比率の変化状態をふまえ、ポートフォリオ全体のリスク変化をとらえることも必要となります。